お酒の味や風味に大きく影響を与える樽。当社に興味を持ってくださったあなたに、ぜひ知ってほしい樽の基礎知識をまとめました。
あなたの知らない樽の一面。知ったら、お酒がより美味しく感じられるかもしれません。
樽とは?
樽のなかには、西洋発祥の洋樽と日本発祥の和樽があります。
洋樽は木材でつくられた樽(木樽)の総称のことで、イタリア語: Botte、フランス語: tonneau、英語: barrel または caskと言います。円筒形の容器の一種で、木の板(樽板)とそれを縛る鉄の輪(たが)で作られています。樽の側面が膨らんだ円筒形が一般的。一定の膨れを作ることで、横にしたときの摩擦面が小さくなり、容易に転がして運ぶことが可能となっています。
古くから世界中でお酒の熟成や貯蔵、保管などに利用されてきました。具体的にはワイン樽、ウイスキーの樽、ビヤ樽などがあります。
新樽について
熟成用の新樽は、熟成に影響を与えられる樽になるよう内部を焼きます。
内部を焼くことで、木の成分が変化してバニラのような甘い香りが生まれ、木そのものが持つえぐみも和らぎます。これらの成分が、お酒に甘みや旨味を与えてくれるのです。
一度も使用されていない樽にはたくさんの成分が詰まっていて、短期熟成でも木の味わいや色味をしっかりつけることができるのが特徴です。
お酒の種類によっては、短期間の熟成が望ましいものや、木材の香りが強い方が良い味わいになるものがあり、新樽はそういったお酒に適しています。
中古樽について
中古樽は、以前に入っていたお酒の味わいをつけたい、木材由来の香りを抑えたいといったように、お酒に個性を持たせるために使われます。
ブランデーが入っていたものは“ブドウの風味”が、カルヴァドスが入っていた樽には“リンゴの風味”が、といったように、前に入っていたお酒の影響を強く受けたお酒になります。
何度か使用している中古樽は、新樽に比べて木材の成分がゆっくりと抽出され、長期熟成することで落ち着いた丸みのあるコクとまろやかな味わいが生まれます。
樽材いろいろ
樽材には色々な種類があります。
例えば、ワインの樽なら「フレンチオーク」が一般的。ウイスキーの樽なら「アメリカンホワイトオーク」が一般的。バーボンのように「アメリカンホワイトオークの新樽を使用しなければならない」という決まりのお酒もあるほど、樽材はお酒にとって大切な要素です。
樽材は、それぞれお酒の産地にゆかりのあるものが使われることが多いです。焼酎や日本酒のある日本では、「ミズナラ」という木材が近年お酒業界に波及しており、ジャパニーズオークと呼ばれています。
アメリカンホワイトオーク樽〈AWO〉
一般的にバーボンをはじめとするアメリカで製造される多くのウイスキー熟成に使用。その他ワインやシェリー、多くの熟成に使用されている。
セシルオーク樽〈FWO〉
一般的に赤ワイン・白ワインなどのざまざまなワイン熟成に使用される。
コモンオーク樽(リムーザンオーク樽・スパニッシュオーク樽)〈FWO〉
タンニンを多く含む為、コニャック、ブランデーなどの熟成に使用される。
ワインにも使用されることがある。
ジャパニーズオーク樽(ミズナラ樽)
元々ウイスキーの貯蔵に使われるシェリー樽の代用品であったが、
原酒に独特の甘さや、とても複雑な香り高いお酒が出来ると、ウイスキーだけでなく様々なお酒の熟成に使用される。
国産樽(サクラ樽・クリ樽・スギ樽・ヒノキ樽)
ウイスキー・焼酎・日本酒など様々なお酒の熟成樽として使用されはじめている。
国産材の可能性
樽材としてはまだ解明が進んでいないところの多い国産材ですが、解明が進んでいないということは、まだたくさんの可能性を秘めているということ。
国産材の中でもミズナラは特に注目されており、海外でもミズナラ=ジャパニーズオークと言われるほどの知名度です。しかし、サクラやクリも今の知名度ではもったいないくらいの個性的な味わいを出すことができる樽材。
今後解明が進んでいくにつれて、よりバラエティ豊富なお酒の味わいを楽しめるようになるでしょう。
サクラ
酸味由来のキレが控えめなため、もともと強めの熟成感がより際立つ深みのある味わい。加えて余韻も強いため、飲み込んだ後まで熟成由来の味わいが持続する。
ミズナラ
酸味由来のキレが控えめで、もともと強めの濃厚で深みのある味わいが更に際立つ。飲み込んだ後の余韻も控えめなため、後味はさっぱりしている。
クリ
酸味由来のキレが強く、口に含んだ時はすっきりとした口あたりで全体的にバランス型の味わい。後味が強いため、飲み込んだ後まで味わいが持続する。
樽熟成について
樽熟成において、樽材は調味料の役割を果たします。
同じ素材を様々な味付けに変化させるのはもちろんのこと、上白糖、黒糖、甜菜糖、と同じ砂糖の中でも様々な種類と特徴があるように、樽も多種多様な味わいを可能にしているのです。
オーク材の産地の違い、樽の容量の違い、樽の焼き方の違い、樽材と保管場所の相性、気候など、様々な影響を受けることでその樽特有の味わいをつけられるようになります。
樽で熟成されたお酒をブレンドすることでも味わいは変わります。職人やブレンダーの技術も関わることで、様々な味わいの変化を実現可能にしています。